月刊スポーツメディスン174号「アメリカ新体操界の躍進を支えるシステム」

Permanent of Entry #1059

[Edit]

Categories:

Printer E-mail

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

月刊スポーツメディスン174号「アメリカ新体操界の躍進を支えるシステム」見出し

先月末に発売されたプロフェッショナルが読むスポーツ医科学総合誌・月刊スポーツメディスンの174号に掲載されている「アメリカ新体操界の躍進を支えるシステム」を読んでみた。

著者は今年、日本人初のアメリカ新体操ナショナルコーチとなった篠原奈美枝氏と篠原稔氏。

15年前にアメリカに移住し、娘のエレナ選手が新体操を始めた2006年からアメリカのシステムでナショナルメンバーになるまで指導者として関わってきた経験を含めながらアメリカ新体操界のシステムが紹介されている。

この記事から、競技力向上のためにアメリカ体操協会が中心になって様々な独自の試みを行っているのがわかる。

まずアメリカの新体操界は指導者も選手も旧ソ連・東欧諸国から移住してきた人達が中心で占められ、そこにアジア系の選手達が加わっているというのが現状ということなので、日本とはかなり構造が異なっていることがわかる。

旧ソ連・東欧諸国からの移住者がいつ頃から増えたのか正確にはわからないが、始まりは冷戦終結以後だと思うので、大体この25年ぐらいだろうか。本場の新体操に精通した東欧の人々がアメリカに多く流入したことが成長に繋がる下地となっているみたいだ。今では新体操強豪国の出身者から日常的に本場の指導を受けることができる恵まれた環境にまでなっている。

レベル別の競技体系というのも日本にはない独自システムだ。よくアメリカの新体操競技会の結果表にレベル7とかレベル8とか表記されているが、大きく分類すると低位レベル(レベル3-6、主に6-12歳)、中位レベル(レベル7-8、主に10-15歳)、高位レベル(レベル9-10、ジュニアとシニア)と別けられるようで、レベル3からレベル10のそれぞれの段階に応じて参加する形態になっている。

これはアメリカ体操協会が選手の成長に応じた段階的向上を意識した育成競技プログラムとして、レベル別ルールを独自につくったもので、アメリカ国内大会で統一して適用されている。成長や技術向上に従ってレベルが上がっていくうちに、正しい身体・基本的な技術・芸術的な動きが段階的に習得できる仕組みになっているとある。

このレベル別競技体系システムはジュニアよりも前のもっと若い世代の育成環境を特に大事にしてるみたいだ。低位レベルのルールに芸術面を組み込み、芸術的な動きの基礎を早くから学んでいくところが大きな特徴かと思う。東欧基準の美しい動きの習得に重きが置かれている。レベルごとに難度の数や難度レベルが制限されるので、未熟なうちから無理をすることも少なくなり、故障のリスクも下げられることから、この仕組みは理に適った方法ではないだろうか。若年から徐々にステップアップしやすい仕組みを構築しているところはアメリカらしい合理性を感じた。

レベル10というのは特別なようで、全米予選の上位選手のみという限られた選手だけが上がれる。その中のアメリカ国籍保有者が全米決勝大会に参加し、トップ8が個人ナショナルチームメンバーとなる。アメリカ国籍を持つエレナ選手は今年の全米決勝大会ジュニア7位となってナショナルチーム入りした。

アメリカ体操協会による新体操タレントの発掘と育成は、年齢によって3段階で行われる。詳細は割愛するが、段階によって年に決められた回数ナショナルトレーニングセンターで4泊5日の合宿が行われ、強豪国出身の米国内トップコーチや、強豪国から招いたコーチが指導する。

この部分は日本の強化選手の講習会に近いところがあるのかもしれないが、撮影が自由になっているそうだ。この撮影自由の部分がとても大事で、合宿ビデオを指導者研修に活かし、また科学的に捕らえて技習得に結びつくトレーニング方法をつくりだしているそうだ。アメリカでは自由にオープンにという姿勢が貫かれている。

大会シーズンは1~6月。残りの半年はシーズンオフで、身体づくりや技習得にあてられる。大会には各クラブが企画して自由参加できるインビテーショナル大会と、州・地方・全国大会の公式大会がある。

採点競技の要になる審判員システムは公平性を保つ為の仕組みが取り入れられている。大会の参加チームから審判員を出すのではなく独立した審判員のみが審判し、審判料が支払われる。採点された申告書は選手に返され、採点結果から演技構成や技術を改善し修正をすることができるようになっている。また今年の全米決勝大会では、世界選手権大会で審判する外国の著名国際審判員を招いて国際標準の採点が行われる努力がされている。

独立した審判員のみが審判するシステムは、ぜひとも世界のスタンダードになって欲しいものだ。

アメリカのトップ選手には学業と両立し、名門大学に進学する人が多くいるところも特徴的な部分になっている。大学の入学では学業成績以外に、芸術やスポーツで活躍した人が高く評価されることが関係しているようだ。アメリカ体操協会からも練習を長くしすぎず、休息日も十分入れるよう指導があり、練習は短く効率的に行い、その分学業に時間を割り当てる傾向がある模様。

月刊スポーツメディスン174号「アメリカ新体操界の躍進を支えるシステム」24-25頁

アメリカ新体操界のシステムには、器械体操での成功モデルが導入されており、協会新体操部門の選任ディレクターであるキャロライン・ハント氏による強いリーダーシップによって国際競技力が急速に向上しているのだという。

これだけ大掛かりな革新的システムをつくり出して実行して行くには、やはり牽引力を持った人の存在があってのこと。ロングスパンで実践してきたであろう試みが実を結び、この数年で結果が目に見て表れはじめたのだと思う。着実にレベルアップしてきて、今でもまだ途上段階にあって、これからももっと伸びていきそうなアメリカ新体操。

躍進している背景を探って分析することで理由が見えてくる。なかなか日本語化されていないことなので、知らなかったことがいろいろわかって参考になった。

※内容は本文から気になるところを部分的に抜粋して要約したものなので、アメリカ新体操界のシステムを詳しく読みたい方はオリジナル記事の拝読をお薦めします。

Tags:
Related Entries

Post Comment

Title

Author

Options

Posted example: Show

0 Comments RSS Feed

TrackBack RSS Feed

:

Permalink URLs for this entry

:
Other: Show